出版社内容情報
エロイム エッサイム…… の呪文で現われ出た悪魔メフィスト。悪魔くんはメフィストの不思議な力を借り、ビチゴン、クモ仙人などの強敵と闘う。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
夢追人009
254
水木しげるさんの「ゲゲゲの鬼太郎」の次に有名な代表作「悪魔くん」ですが私は初読みでして、小さい頃にテレビで実写版を見た記憶が朧気にありますが子供にはストーリーが複雑過ぎたせいか全く憶えていませんでしたね。今回読んでみまして、とてもスリリングで面白かったですよ。この物語は要するに鬼太郎ほどの絶対的な強さのヒーローではなく、悪魔くんが普通の人間の小学生で、悪魔メフィストは元々やる気のない野郎でソロモンの笛を吹かれると苦しいから嫌々やるだけの怠け者ですので最後まで事件の決着がどうなるのか予断を許さないのですね。2021/12/12
あたびー
33
千年王国とは全く違う話です(悪魔を呼び出して平和な国を作ろうという意図は同じですが)。普通の家の普通の子である悪魔くんが、ファウスト博士の助けを得てメフィストフェレス(性格ネズミ男)を呼び出し、友人の情報屋、貧太、百目と一緒に様々なトラブルに立ち向かうと言う連作です。大枠はむかしテレビの子供向けドラマで見たものと同じです。悪魔は完全に良いもの側と言うのが面白いですよね。途中日本の妖怪が出てきた時、百目は妖怪の仲間に入れてもらってないのも不思議ですがご愛嬌。中に入ったものが消えるという謎の洋館の話が好き。2022/11/06
Y2K☮
31
子どもの頃に見たアニメとはだいぶ趣きが異なる。いわゆる「十二使徒」が百目しかいないし(メフィストは登場するがお馴染みの二世ではない)、豊かさを追求する人間社会に向けた諷刺色も強い。得体の知れない問題が起き、その解決に悪魔くんとメフィストが受け身で忙殺される印象。その意味では「ゲゲゲの鬼太郎」に近い。「夢のような天国を地球上に作る」という悪魔くんが本来課せられているであろうミッションは少なくとも本書からは感じない。あとページによっては描き込みが三浦建太郎に劣らぬほど緻密。水木さん、本当に妖怪が好きなんだな。2022/03/16
ホークス
22
エロイムエッサイム、われはもとめうったえたり。でメフィストが現れ、言うことをきかない時はソロモンの笛を吹いて懲らしめる。微かな実写版の記憶では、笛を吹くとメフィストの頭から煙が出てきた様に思う。原作を初めて読んだが、鬼太郎に通じる濃厚な闇の世界で、笑える話も何だか怖い。この不気味な雰囲気が大好き。水木しげるが影響されたベックリンの「死の島」や、ブリューゲル、ボッシュ、ゴヤの作品の他、古い恐怖映画からもヒントを得てるみたいだ。楽しかった。2017/02/05
緋莢
17
YOUTUBEの東映チャンネルで実写版「悪魔くん」が配信されていた2017年年末頃に買いました。この本に初出は書かれていませんが、wikiで調べると1966年~67年にかけて『別冊少年マガジン』、『週刊少年マガジン』連載。<テレビドラマ版の原作にあたり、ドラマと同時並行して連載された。>との事。「世界が一つになり だれもが幸福にくらせる社会をつくるのだ」という山田真吾。その方法が「地下から悪魔を呼び出し、その力を利用して世界を統一する」という結構物騒なもの(続く2019/06/01